誰も通らない田舎道を、俺は紫とただ歩く。

辺りにはとにかく田園しか広がっておらず、どこからともなくセミの声ばかりが響き渡る。

紫は黙々と歩く。

俺も何を言っていいのかわからないまま、彼女の後ろをついて歩く。

なんだ、散歩がしたいのだろうか。

だったら家でだらだらでもいいじゃん。

そんなことを言ったらまた怒られるだろうか、いやそれよりもケータイを今度こそ逆パカされてしまうだろうか。


ぼんやりと考えていると、紫が足を止めた。