結局ケータイは人質ならぬ物質に取られたままだった。


「仕方ないか……」


遊ぶ約束はしちゃったしなぁ。

どうせ明日取り返せるだろ。

俺は諦めると、夕闇の下、かすかな記憶を頼りにじいさんの家を目指して歩き始めた。



ヒグラシの声が寂しげに響く田舎道は、どこか恐ろしく、しかしどこか迎え入れられてるような、そんな懐かしさを感じた。