「あ、イヤなんだ」


俺の躊躇を一瞬にして少女が見抜く。


「え、いや、イヤじゃないイヤじゃない!」


「信じられないなぁ。あーあ、悠君、昔はもっと正直な子だったのになぁ」


そう言いながらケータイのストラップだけを指で摘んで空中でぶらつかせる少女。

昔、って言うけど、やっぱり俺はこの少女と会ってるのか?

いやそんなことより、コイツ人の弱みを確実に利用していやがる。

絶対将来いい大人にならんぞ。

自分のことは棚に上げてそんなことを思いながら、俺は必死に両手を振り上げた。