「食べないなら、一つ頂戴」


図々しく言いながら、キリ姉は俺の手からさっと赤いりんご飴を奪っていった。

いやそれは、と思うけど、何がダメなのか分からなくて、まぁいいかと、奪われたままにしてしまう。


「あ、ほらほら!」


どぉん、と腹に響く音がして、花が空に一輪咲く。

あれ、花火もう始まってたんだっけ。