「ねぇ、悠君」


何度も聞いたはずのその声。

誰の声だったっけ。

指の隙間から砂が零れ落ちるように、さらさらと。

消えていく。

焦る。

その焦りさえも、消えていく。


「ありがとう」


最後の砂粒が、手から落ちる。



わすれないって、ちかったのに。



「…………き」


言葉は、花火の音にかき消されて聞こえなかった。