「でも、ダメなんだね、やっぱり……知らない方が、よかったのかなぁ」


伸ばした俺の手を、彼女が掴んだ。

ぎゅっと、力を込めて握っているのが見て分かる。


そう、確かに握られているはず、なのに。


まるで雲に触っているかのように、その少女の感触がない。