「忘れててもいいって、思ったの」


こいつには友達がいないって言ってた。

誰が?

誰だっけ?


「私も誰かを好きになっても許されるのかな、って思ったの」


ボタンがまたズレる。

でも、俺は違和感なくその服を着てしまう。


「もしかしたらこの人は、ずっと私のこと、見ていてくれるのかなって思ったらさ、幸せだった。
幸せだったんだ」


笑いながら話しているのに、何故か泣いているように見える。

糸が解けていく。

ボタンが外れる。

違う服に付け替えられてるんだ。