「あの時は、ごめんね」


「何言ってんだ、これはお前じゃなくて……」


言いかけながら、言葉が出てこなくなる。

これはお前じゃなくて、キリ姉に。

あれ、本当にそうだっけ。

ズレを感じる。

どこかがズレて、繋がっている。

ボタンの掛け違えをしているような。

慌てて記憶を辿る。

スイカをぶつけられて、ごめんねごめんねと泣きそうな声で謝られて、でも、その人の顔が見えない。


覚えているのは、長い黒髪に、白い肌の。


って、ちょっと待て、俺の知ってるキリ姉は、いつだって男の子みたいな短い髪で、猿のように遊び回ってて、そのせいで肌は真っ黒に焼けていたはずだ。