その時、俺の前を元気よく走っていく紫の姿が、一瞬ぼやけた。

あれ、と思って目をこする。

……見えるな。気のせいか。

視力落ちたわけじゃないよなぁ。

目だけは自信があるっていうのに、ここもダメになられたらさすがに困るな。


「どうしたの?」


立ち止まっていた俺を不審に思ったのか、紫が立ち止まり尋ねる。