「あぁ、夏祭りか」


ちょっと考えてから思いついた答えに、キリ姉は一瞬眉を潜め、「まぁそれもそうなんだけど」と続ける。


「悠は一緒に行ってくれないしなー」


ややトゲのある物言いに心が痛くなる。

俺だって残念ではある。

体が二つあればさ。


「そう言えばさ、悠は知ってる?
あの祭りの由来」


「祭りに由来とかってあるもんなの?」


「そりゃー普通あるでしょ……あぁ、そこもうちょっと強く」


へぇ、なんでもいいから騒ぎたいだけなのかと思ってた。

キリ姉の要望に答えながらそんなことをぼんやり思う。