走って走って、気がつけば辺りの風景はすっかり変わってしまっていた。

古びた階段を息も絶え絶えに上りきると、森の中にぽつんと立つ鳥居が俺を出迎えた。

神社だろうか、どことなく見覚えのある景色だ。

子供の頃に遊びに来たのだろう。


「も、もう、だめ、だ……」


そばにあった木に寄りかかり、座り込む。

もうムリ。限界。

少女の姿は見当たらない。振り切られてしまったか。

あんな子供に追いつけないなんて、どうかしてる。

セミの声以上にうるさい自分の心臓の音を聞きながら、「あー」なんて情けない声をあげた。