「それで急遽入院費が必要になっちゃったんだけど、お嬢ちゃん、払えるかな？」


『えぇ！？　ご、ごめんなさい私お金とか持ってなくて、え、でも入院って、悠君無事なんですか！』


「無事無事。でもこの電話に出たってことは、悠の関係者だよね？
電話出た人じゃないと入院費って払っちゃいけない決まりなんだけど、知ってる？」


『そ、そうなんですか！？
え、でも私、お金持ってなくて……』


受話器の向こうから聞こえてくる紫の声はアホみたいに焦ってて泣きそうになっていて、普段のクールさが全く見られなかった。

この辺にしといてやるか。

さすがにこれ以上は申し訳なくなりそうだ。