「あの!」


「ん?」


「おにいさんは、紫ちゃんのこと、分かるんですよね?」


「一応だけどな」


分かるったって、ほんの数日の付き合いだ。

ただただ毎日振り回されてるだけで、全然あいつのことなんか知りはしない。

おかげで今こうして苦労してるわけで。


「あの子、友達、いないんです」


突然何を言い出すんだ、と思いながらも俺は「そうなのか」と相槌を打つ。