慌てて靴を履いて庭に飛び出した時には、少女はもう敷地を飛び出していた。

どっち行った? 左か、右か?


「こっちだよー」


ご丁寧に声がかかる。

声の方を見ると、「いししー」と笑うあの少女の姿。


「待てっつの!」


俺が追いかけてくるのを見て、少女が駆け出した。

このやろ、俺を相手に追いかけっこかよ。

たかが小学生の足、すぐに追いついてやるよ!



と、彼女の足を侮ったことを、俺はすぐさま後悔した。