「近所の人だよ……昔、一緒に遊んでくれた人」


「それだけ?」


「それだけ」


「ほんとに?」


「ほんとに」


ずいぶん食い下がるな。


「つーか、お前知らない?
切子さんって言うんだけど」


言われて紫はしばらく悩んだ後、「あー」と頷いた。

まぁ田舎のネットワークなんて狭いからな。

特に、若い大人なんて、子供にしてみれば結構憧れだったりするもんだ。

一方的に知ってても不思議じゃない。