「学校の近くにね、新しいカフェができたんだって!」


「へぇー…」


「美里も行かない?」


あたしは少し考えてから
ケータイを開いた。


-新着メール3件


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Date:6/18 1:50
松坂さん
sub:今日は―…
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今日はいつものホテルに5時ね。
203号室で待ってる。

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他のメールもすべて
違う人からこういう内容だった。

今日は忙しいみたいだ。



「…ごめん…
予定入ってるからムリだわ…」


「そっか!じゃあ、また今度ね」

女の子たちは去って行く。


「本当ノリ悪いよねー!」

「せっかく誘ってんのに」


と、

言いながら。






私は、ため息をついた。



私に本当の友達はいない。
みんな偽善者ばかりなんだ。









―放課後。



「あっ、

皆瀬くんっ」



私の横を通る皆瀬くんに声をかける。

皆瀬くんは私の彼氏だ。


「…何?」


「あのさ…今日一緒に帰れないんだ」


「今日もだろ?
気つけて帰れよ」


皆瀬くんは私の頭をポンポンとたたいた。






皆瀬くんは優しい。


皆瀬くんは優しい。




だけど私は

皆瀬くんでさえ、






裏切ってるんだ。








203号室に入ると、
松坂さんは

ベッドに座ってテレビを見ていた。



松坂さんは
41歳
奥さんいるし、子供もいる。

なのに毎日私を求めている。





「シャワー、
浴びてきます」


私がそういうと
松坂さんは、
いいと言った。



「いいよ、
今日早く帰らなきゃだから
早くして」








「…はい…」


私は制服のまま、
ベッドに行く。



松坂さんに手を引っ張られ
ベッドに倒れ込む。





私は簡単に

生まれた状態のままに
なっていた



毎日やってるのに
全然、慣れない





ベッドが軋む音と甘い声だけが部屋に響く







――――……………












そして、今日も


松坂さんと


つながる。








「-………」

終わった後、
服も着ないで1人、

ベッドに横になっていた。



ベッドの横の置き時計を見ると
6時だった。


その時計の前には
5万円。



別に、

お金のためにやってる訳じゃない。



1人ぐらしだけど
生活に必要なお金は送ってくれる。






ただ、



私は





1人が寂しい。






それだけの理由。















私は、

13才からずっと独り身だった。


両親2人は
交通事故で死に、


私だけ奇跡的に助かった。




その時同じクラスで
仲がよかった皆瀬くんが

親のいない私を
たくさん助けてくれた。


自殺も…

しようとした



でも

皆瀬くんがいてくれたから





だから
今、生きてる。





私にとっては皆瀬くんは

いなくては
ならない存在になっていた。












学校に行ったら、

いつもより騒がしかった。



廊下で人に会う度に

こっちを見られている気がする。



-気のせいか。



私は何事もなかったように
教室へ入る。


「あっ

本人とーじょー♪」



え…




「昨日は誰とえっちしたのぉー?」


誰かがそういうと


みんなが笑った。











「…な…にが…?」



「アレ見ろよ!

証拠写真」



黒板に
紙が貼ってある。


横には、

注目!

とも書いてある。



私がホテルへ入ってく写真。



名前は
ホテル・SKY


松坂さんのホテルだ…


もしかしたら
昨日撮られたかもしれない…






「……違う!これは違うの!」



「何が違うんだよ、

写真のバックのキーホルダー、今つけてんのと同じだろ!」





「しかも、昨日!」