もう、嫌だ。
こんな所、生きていたくない……
私、天城架歩(アマギカホ)は、一人空を見上げていた。
あの空へ、飛び立ちたい。
どこでもいいから、私をここから連れて行って……
人間関係って、面倒臭い。
どこまでが境界線なのだろう。
どこを越えてはならないのだろう。
触れちゃいけないところって、どこ??
読まなきゃいけない“空気”って、何??
相手を思いやる気持ちは、一応持っているつもりだった。
でも、気づいてしまった。
私は、優しくなんか無い。
ただ、怖いから周りに従っているだけなんだ。
私には“偽善者”という言葉が、ピッタリだ。
嫌、実際はよくわからない。
“私”は、一体誰なんだ?
空にいくら問いかけても、答えは返って来なかった。
私は、懐からハサミを取り出した。
刃を広げ、手首に当てる。
少し前、私はとうとうリストカットに手を出した。
死にたいワケじゃないし、これで死ねるとも思っていない。
ただ、“自分”という存在を、許せなかった。
最初は怖かったけれど、今となっては余り動じなくなっていた。
“慣れ”だろうか。
こんなことに慣れるなんて、と苦笑する。
だが、事実私はこれを何度も繰り返している。
その証拠に、私の手首には出来たばかりの細いかさぶたができていた。