「お待たせ、ゴメン待ったよね」


物思いにふけっていたあたしを現実に引き戻したのは、寒そうに車の外から声をかけてきた上総だった。


「あっ…ゴメン考え事してた…乗って」


上総はニコっと笑って助手席に乗り込んできた。


「寒いねぇ、まぁ俺にしたら大した事ないんだけどさ」


子供のように笑いかけてくる上総を既に直視できないのだから、どうしようもない。


「北海道ってさ、そんな寒いの??」


我ながらくだらない質問だと思う。


「やっばいよ、江夏なら絶対生活できないよ。」


そんなくだらない質問にも笑顔で答えてくれる上総は、きっと純粋に優しいのだろう。