次の日、あたしの出勤時間は遅番で、お昼前に出勤だった。


昨日、あれから上総にメールは返していない。


部屋に携帯を置きっぱなしにして、リビングで化粧をする。


今人気のお笑い芸人が、お金をかけてまた無茶な挑戦をしている。


あたしには、こんな事絶対無理だ。


尊敬に値する。


今日は雪は降っておらず、空は快晴だ。


一通り化粧を終えて、部屋へ着替えに戻ると携帯の背面が光っている。


知らない番号だった。


「…誰だろ」


軽い気持ちでかけなおした。


それが新たなあたしの悩みの種になるなんて、知らなかった。


『もしもし』


知らない番号の主は、大人の男の人だった。


「お電話もらってました、葛西ですけど…どちら様ですか」


あたしがそう言い返した途端、相手は喋らなくなってしまった。


「もしもし??すいませぇ-ん。どちら様ですかぁ」


若干イライラする。


『江夏…江夏の携帯で間違いないよな』


「え…はい、そうですけど…」


聞いたことがあるような気がした。


この声、誰だろう…


少しの沈黙の後、相手は電話を切っていった。