だけど私は正直に話してしまう。


最高でした、と言った。


「本当!?ありがとう。何かそうやって言われると嬉しいよね。」


嬉しいのは私の方だ。


早くこの状況から逃れたいのもあるが、それが段々嬉しくもなってきていた。


「それじゃあ…気を付けて帰ってくださいね。雪も降ってるし」


私は、逃げる方を選んだ。


頭の中が熱いのに、芯だけ冷えている。


冷えている部分が働いて、私に逃げろと指令を下したんだ。


「ねぇ」


踵を返した時に、上総は私を呼び止めた。


「雪と音源ついでに、名前と携帯番号…あっ、メアドもね。教えてよ」


携帯を持って、目の前の上総は笑っていた。