店の従業員の駐車場には、まだ誰の車も止まってなくて、店のシャッタ-もしまったままだ。


「もぉ…最悪…」


店の前に座り込んで、携帯を開けても暇なのに変わりはない。


ただ虚ろに空を眺めた。


止めどなく雪は降り続けている。


一体空は、加減することを知らないのだろうか。


「あの、すいません。この店の従業員の方ですよね」


その声に顔を上げた瞬間、私の体の筋肉は全て硬直した。


「あ、この前倒れた人だ。大丈夫ですか???」


返す言葉が見つからない。


倒れた事を言われたからじゃない。


私の前に、今立っている人が






上総だったから。








「…ぁぁあぁあ!!!」


思わず叫んでしまった。


「あっあっ、驚かせた??すいません」


「いえ、あのっ、この前はご迷惑おかけして…ごめんなさい!!!」


この状況で、他のことを話せる程私は器用じゃない。


「俺、この前忘れ物しちゃって。」


大きくて澄んだ目が、真っ直ぐ私を見つめている。