「……なんで青ざめるわけ?」



「いや、なんのことだ?」




お父さんは落とした新聞を拾って置き直す。

それでも、まだお父さんの顔はうっすらと青い。




「もしかして……豆腐?」




ピタッ…!!




私の言葉で、お父さんが固まった。



「覚えてたのか…。」


お父さんは固まった状態のままで喋る。



「ううん。お母さんから聞いたから。大丈夫だよ!中3なんだから豆腐ぐらいちゃんと切れますー!!」




私は嫌味っぽく言ったけど、お父さんは安心した表情だった。


そんなに細かい豆腐が嫌だったのかい……。

細かいほうが、一気に味噌汁が吸えて楽だと思うけど…。




「美晴ー、紗季起こしてきてくれる?」



「はーい。」



私はキッチンにいるお母さんに返事をして、2階の紗季の部屋に向かった。