毎日やって来るサキに会いもしないで居留守を使うパパ。



初めはママもパパの機嫌を損ねないように、サキに冷たく当たっていた。



だけどママはあたしの理解者だ…。



「そんな言い方しなくてもよくない?あたしは子どもを産みたいの」

「あの男の子だからか?」

「…………正直、出来たから産むんだよ。初めは怖くて、いらないって思った。だけどサキが一緒に背負ってくれるから、だから産みたいの」



コポコポとカップに注がれるコーヒーの音だけが響いた。



パパのメガネの奥は、どんな目をしているんだろう…。



「ユズが生まれた時、本当に喜んだ。女の子がほしかったからな…」

「パパ…?」

「パパはお前に甘い。カワイくて仕方ない娘で、ワガママならいくらでも聞いてやりたかった…」



寂しそうに語るパパが、なんだか小さく見えた…。



そんな話し聞いたこともない…。



たしかに、あたしにすき放題やらせていたのは実感してる…。