唯一の兄妹の兄はあたしを見下すような目で見ていた。



『浅はかだな』



家に帰って来て兄と交わした言葉はそれだけ。



そんなのわかってるもん。



あたしとサキがいちばんよくわかってる。



だけどあたし達は産むって決めたんだから。



その日、父が帰って来てリビングでひとりになってた。



「パパ」

「…………」

「ちゃんと話し聞いてもらいたいんだけど」

「なんの話しだ?」

「あたし、パパがいくら反対したって産む。でもパパにも応援してもらいたいから…」



無言で立ち上がったパパはコーヒーカップを持ってキッチンに向かってしまった…。



ママはそれなりにパパを説得してくれようとしてる。



それも聞かないパパだから、今の夫婦仲はあたしのせいで最悪かもしれない…。



「待ってパパ…。あたしパパに感謝してる!!今まで育ててもらったこととか…」

「口先だけではなんとでも言える。お前はあの男のとこに行きたいだけだ」



サキのこと…?