ユズから握られた手は、なんだか照れ臭い。



それに夜デートって…。



「久しぶりに街とか行きたくない?」

「だけどお前大丈夫かよ…」

「お腹の中にひとりいるだけで他は元気だし!!」



ユズがそういうなら…。



メシも食ってなかった俺のために寄ったファミレスで向かい合い、その後はゲーセンでユズが欲しがったフィギュアを取った。



クラブとか行こうかとも思ったけど、胎教に悪そうだから中止。



「夜景見える~!!」



やたらテンションが高くてカワイイユズを連れてやって来た展望台。



初めてこんなとこ来たかも…。



ユズってやっぱり学校で見てた人間とは別人みたいだ…。



男っぽい部分が多いと思ってたのに、一緒に暮らし初めてからは常に女…。



笑顔で振り返ったユズがやたらと胸を締め付けた…。



無性に抱きしめたい…。



「ユズ、帰ろ」

「なんで?まだいいじゃん」

「帰りてぇ。俺らんちに…」

「えっ!?あっ…うん?」



ふたりになりたいと思った。