昨日サキに言われた『気持ちがない』って意味はあたしも十分理解してる。



だけどそれを認めたくないあたしがいたから…。



バスルームから出て来たサキは髪を拭きながらキッチンにやって来た。



「今日弁当ナシ?」

「あっ、今から…作っても間に合わない…」

「だな…。ユズ、ごめん…」



そう言ってなぜかわからないけど優しく抱きしめられた…。



サキじゃないみたい…。



抱きしめられた瞬間、どうしてか涙が溢れて子どもみたいに泣いてしまった。



この家にひとりで、寝るのもひとりで。



そんなの望んでないよ…。



たくさん笑ってたくさんサキを好きになりたいのに…。



「お酒臭いっ…」

「京と飲んでた…。で、愛に会ってきた…」

「えっ…?なんでいまさら愛ちゃんが…」

「前から忘れらんねぇってメール来てて…ユズとのこと話してきたから…」



その後は?



愛ちゃんはなんて言ったの?



諦めて…くれたんだろうか…。