「今回は責任半々だな」

「くっ…」

 反論できねぇ(あら嫌だまた言葉遣いが)。

 火花を散らす私たちの傍で、呑気な母親組は「仲が良いわねぇ」と顔を見合わせ笑っている。っていうかいつの間にビール開けたんですかお二人さん。

「ふふっ、もういっそ冗談抜きでお婿さんになってもらいなさいよ〜」

 大分酔いが回った(本当にいつから飲んでいたんだろう)お母さんがにこにこしながら言う。

「そーだなぁ、そしたら心都もつまんない嫁姑問題で悩まなくてすむな。あたしが可愛がったげるから」

 素敵な笑顔で親指をぐっと立てる明美さんも、明らかに面白がっている。

「…そりゃどーもです」

 私は妙に落ち着いていた。親に好きな人との仲をからかわれているというのに、もうさっきのしらたきの時みたいには動揺したりしない。

 なぜなら。

「人の将来勝手に決めんなー」

 隣でゆるい反論をしている「好きな人」こそがこの状況の中1番動じていないからだ。

 つまり、七緒は私と冷やかしを受けたくらいでは動揺したりドキドキしたり、あまつさえ可愛らしく恥ずかしがったりはしないわけで。毎度の事ながらそれは奴が私をそういう対象として全く意識していない現実を意味する。

 だったら私だけわたわた慌てるのなんて馬鹿らしいじゃないスか、ってなもんで。

 想い人・東七緒君の鈍感加減のせいで10代の少女としての初々しさというか恥じらいをちょっぴり失いつつある私なのであった。