そして数秒後。




――ぶちっ。





「…ん?」

やけに軽快な音と共に、つむじから来る一瞬の痛み。

そして目の前には、「あ、抜けた」と満面の笑みを浮かべる七緒。

さっきまで私の頭上にあったその手には今、白い糸のような物が握られている。

「うわー、根元から毛先まで真っ白だよ!俺、若白髪って初めて見た。何か違和感あるなぁと思ってたんだけど、やっぱこれが原因だったかー」

「……。」

「それにしてもこんな見事に真っ白なんて、心都、ストレス溜め込んでんだろ」

うん。あのさ七緒。

私の髪の落ち着きに気付くより、この1本の細い若白髪を見つける方が遥かに難しいと思うんだけど。

…そりゃあストレスも溜まりますわ。

だって好きな相手がこんな奴なんだから。

「ってこんなオチ納得いくか―――!!」

「また絶叫!?やっぱストレス溜まってんだ」

「うっさいバカー!!」











やっぱり、と言うべきか。

そんなに簡単にはいかないようです。

こんな私たち。想いが伝わる「いつか」は、本当にいつになるのでしょうか。








…畜生。絶対可愛くなってやる。