「…何かっこいー事しちゃってんのよぉ…」

「は?」

今までだって死にそうなくらい好きなのに。

これ以上好きになったらどうすんの。

こんな私が好きになったら、1番迷惑するのはきっと、絶対、七緒だよ。

「私の代わりに殴られたりしてさぁっ…かっこつけすぎなんだよバカー!」

「…何で泣いてんの」

美少女顔で幼馴染みの七ちゃんには、きっと一生勝てないね。

けど。

「ごめんね」

さっき気付いた、七緒の不思議な表情の答え。

今まで知らなかったあの顔の正体は―――

「ごめんね七緒っ…私のせいで、こんな…」

チワワでもプードルでも、もちろん可愛らしい美少女でもなく。







あの時の七緒はちゃんと『男の子』の顔だったんだ。



「…とりあえず泣き止んでください。」


七不思議になっちゃうくらい可愛い顔で、
柔道命で、
笑うと瞳がきらきらして、
ためらいもなく人を庇って殴られて、
1番近くて、
1番遠くて、
そしてたまに男の子なこの幼馴染みが、
私は、大好きだ。