「本当お節介おばさんだよなー、心都」

「おっ…おばさん!?」

私がおばさんならあんたはおじさんだっての、という反撃をぐっと堪える。

「俺もう中2なんだからさぁ、いくら幼馴染みでも心都のお守りは必要ないって」

「お守りぃ?」

七緒は腕を組み1人でうんうん頷きながら、

「お前何だかんだ言ってイイ奴だし、俺が変な女に引っ掛からないか心配してくれたんだよな」

…ん?

「でもいくらなんでも、そんな誰とでもほいほい付き合ったりしないし。だから心配すんな!俺の事なんか気にしないで、心都は心都でいい相手でも見つけて青春しろよ」

…んん?

「このままじゃ一生お節介おばさんで終わるぞ。な?」

な?って爽やかに言われても。

ていうか「いい相手」ってそんなサラッと!

――やっぱりこいつ、私が幼馴染みとして心配したと思ってる。本当は七緒を好きな一女子として、だったんだけど。

そんな事実はつゆ知らず、嫌味なほどの可愛い顔で笑う超鈍感男。この……

「このアホ!!」

「はぁ!?」

怒号一発、わけわかんねーと言わんばかりの七緒を睨み付け、私は自分の望み通り風の如く裏庭から走り去った。

ジャージを翻して肘と膝は直角の、可愛さの欠片もない走り方で。