「ヤバいじゃん心都……」

 美里が私に耳打ちした。

 ど、どうしようどうしようどうしようどうしよう!? もう私の頭はパンク状態。

 怒鳴られた彼はケロッとした顔で、

「まーまー、そうカッカしなさんな」

 語尾にハートマークさえ付きそうな口調だ。

「てゆーか、誰からもらったのー?」

 窓側にいた女子が興味津々といった感じで七緒に尋ねた。私もそれが気になってたところ。

 七緒は不機嫌そうな顔のままもごもごと答えた。

「……校庭から戻ってきたら、下駄箱の中に入ってて、名前、書いてなかった。いたずらかもしれないし……」

 するとまたしてもさっきの男子が、

「いたずらなわけねーって。こんな気合い入った文章なんだぜ?」

 と言うと、七緒のポケットからひょいっと便箋らしきピンクの紙をつまみ出した。

「あ、てめ……」

 七緒の手をかわすと、彼は女子の声を真似て朗読した。

「2年2組の東七緒クンへ★急にお手紙出してごめんなさい。びっくりしたでしょ?? でもどうしても伝えたい事があって。あたしは東クンが大大大スキです! 付き合って下さい! 返事は今日の放課後、裏庭で聞かせてね。P.Sあたしスタイルには自信あるよ(笑)じゃあ、いい返事期待してるョ!」