「草壁さんは、恋人いないんですか」


夕霧さんの急な質問に、私はキョトンとした。


「え…?」


「恋人ですよ、恋人」


「……そうね、居ないわね。今は娘の夏美が、高校生になったばかりだし、私の母親と父親との暮らしで、色々と大変ですしね…母には、再婚は考えてないのかと言われましたけど…」


ふぅ…と、溜め息を吐いた。


恋人とか作るとか、そんなこと全く考えてなかった…。


娘も居ることだし、ましてや…もう、こんな年だし。


「私で良ければ…話相手になりますよ」
夕霧さんが、そう言ってくれて、私は少しだけホッとした。


「あ、ありがとうございます。夕霧さん」