ある郊外のマンションの非常階段で女子高生が転落死した
「事故死かな…やっぱり」
「でも、どうしてここで亡くなったんでしょう。オーナーの話だと、非常階段は住民でもあまり使用されないらしいんですよ」
「ま…一応捜査するか」
2人の男女の会話
男は三浦隆志。女は南由佳
2人は捜査一課のコンビである
隆志は32歳、由佳は28歳だが、同期であるので基本はタメ口である
「で、被害者は」
隆志が由佳に聞いた
由佳は手帳をめくり、答えた
「栗田美咲、17歳。近くの東和高校に在学。このマンションの807号室に母と共に住んでいる」
「父親は?」
「輸入家具専門の貿易の仕事をしているらしく、ほとんど家にはいないそうです」
「どーりで、いいマンションに住んでいるわけだ」
隆志は非常階段から、奥の方までの長い廊下を見、そして下の中庭を見た
中庭はかなり綺麗に手入れされてあり、いい匂いの花が咲いている
由佳は手帳を閉じ、首をかしげながら、「で、これからどうしますか」と隆志に尋ねた
「とりあえず、807号室に行って母親に話を聞こう。もしかしたら、自殺か他殺の可能性もある」
隆志はそう言いながら、心の中でそれはないだろう、と否定した