翌日、隆志と由佳は東和高校に行った
グラウンドではサッカー部と野球部が練習をしていた

「刑事さん…」

美咲のお母さんの咲子が二人を見て駆け寄ってきた

「真相がわかったって、本当ですか」
「えぇ。…でもあと一人、それを伝えなきゃいけない人がいるんです」

そう言うと隆志は、校舎とグラウンドの間にある体育館の方へ歩き出した
体育館は普通の体育館と変わりはなかった

中ではバドミントン部とバレー部が練習をしていた
その中に、麻由美の姿がいた

隆志と由佳がお辞儀をすると、麻由美は寄ってきて、まず咲子に挨拶をしてから「何か分かりましたか」と尋ねた

「えぇ…」

隆志がそう言うと、麻由美は「教えてください!」と必死になった
隆志は麻由美と咲子をグラウンドまで連れて行った

「美咲さんは…サッカー部の『先輩』に恋をしていました…あの人です」

隆志は『先輩』を指差した
『先輩』はサッカー部で、MFらしい

麻由美は『先輩』がすぐに分かった
一番目立つ子だ
プレーも上手い

「美咲さんのケータイにはあるアドレスが残っていました。あの『先輩』と、…彼女と二人でやっているホームページのアドレスです」

サッカー部の練習が終わると、女の子が出てきて、『先輩』にタオルとペットボトルを渡した

「あの子が、そうです」

「サッカー部のマネージャー…」

「調べてみると、事件時刻の五分前に、美咲さんのケータイからそのホームページにアクセスした形跡がありました」

「その日は、サッカー部の練習試合があったみたいです。試合時間は夜7時まで」

「…きっと、今から急いでいけば間に合うと思ったんでしょう。急いで、走って、行った。エレベーターも使わずに」

「で、そのまま…ということですか」

何もしゃべっていなかった咲子が聞き、ため息をついた

「そんな、簡単に…。まだ、17歳なのに」と言って瞳を潤ました


重い空気が流れた

「ねぇ、あなたたちはいつも体育館で練習しているのよね?」と由佳が言った

「おい、何をこんな時に…」

「ちょっと、体育館、入ってみない?」