東和駅のロータリーで車を停め、待っていると前からラケットとスクールカバンを持ったブレザーの高校生が来た

それが春日麻由美だな、と隆志は思った
向こうも隆志を見て、警察とわかったらしく、近づいてきた

「春日麻由美さんですね」

隆志は背広から警察手帳を取り出し、春日麻由美に見せた
麻由美はそれをチラリと見、次に隆志の顔を見て確認した

「はい」

春日麻由美は胸ぐらいまである黒髪を横でまとめていて、少しウェーブがかかっている
背も高くスタイルも良い

「車で家までお送りします。その間、話をしましょう」

隆志がそう言うと、春日麻由美は少し動揺した
いくら警察でも、男の人と二人っきりで車に乗るのは躊躇ったのだろう
だが、車の後部座席に座っている由佳を見て春日麻由美は助手席に座った


窓から外を見ると、もう真っ暗だった
街灯のオレンジ色の光が麻由美の顔にあたり、その横顔を見て、隆志はやっぱり美人だ、と思った

「それで…美咲さんから彼女の好きな人の話とか、聞いていませんか」

麻由美は唐突にそれを言われて驚いたらしく、「はっ?」と聞き返していた

「えっ…美咲、好きな人…あ…聞いてません」

ぼそぼそと答え、「そんなこと捜査してるんですか」と尋ねた

「あ…捜査は事故ということで片付いたんですが、美咲さんのお母様から、生前美咲さんが好きだった人のことの捜査をお願いされてまして…」

「警察って、そんなことまでやるんですか」

「まぁ、今回は特別と言いますか…」

「この人、変わってるのよ」

二人が話していると、後ろから由佳が割り込んできた

「だからま、そこら辺は気にしないで」

由佳がニコッと微笑むと、はぁ…と麻由美は答えた