「えっと…まず…
ここだと診れないので、
隣町の○△医院に行って下さい」
医者にそう言われて、湊太くんはびっくりしていた。
「なんか…悪い病気ですか?」
湊太くんがそう言うと
医者は眉間にシワを寄せた。
「あのね。ここ
内科だから。しかも専門が胃腸科。
奥さん妊娠しているから。
産婦人科は○△医院。
そっちで診てもらって。
じゃあお大事に」
「………え??
え??
え−−−−−!!!!!」
湊太くんはがたんと立ち上がった。
「湊太くん…?」
「すげ−−−!!!」
それから湊太くんは大喜びで、
しかもすごい心配性で。。
落ち着かせるのに、ちょっと大変だった。
休みの日、何をするにも湊太くんが奪って、
家事のほとんどをやってくれた。
掃除機ぐらい…と思って、掃除機のスイッチを入れたら、
湊太くんが飛んできた。
「休んでろって」
湊太くんは掃除機を引っ張った。
「掃除機ぐらいできる!
湊太くんは心配し過ぎだよ。
妊娠は病気じゃないんだから!」
私はまた掃除機を引っ張りかえした。
「心配に決まってんだろ!
休んでろって
ほら!」
ガタン!!!!!
湊太くんが引っ張った掃除機が、
ピアノに当たった。
「あ…ごめん!!大事なピアノなのに……
やべ−−傷ついた…」
見ると、お父さんの傷の隣に
まるで同じ形の新しい傷。
思わず笑ってしまった。
《お父さん、元気ですか?
お母さん…見てる?
私は今、すごく幸せです。
きっとお父さんとお母さんも
こんな風に、私ができた事を喜んでいてくれたんじゃないかと、
今、同じ立場になってそう思いました。
湊太くんとの出会いは本当に偶然で、
途中別れがあって………
でも、その別れは大事な出来事だったんだと
今はそう思えます。
私のお腹の子には
どんな人生が待っているのかな……
違うよね。
待っているんじゃないよね。
自分で、切り開いていくもの
自分を信じて歩んでいくもの
そういうものだと気づかせてくれたのは
湊太くんです。
この人のそばに一生いられる自分の人生を
私は誇りに思います》
「香澄−!!!!
そんな重いもの持つな!!!」
「もう〜ただのバスタオルだよ〜」
「香澄〜!!!!!!
そんな走んな!!
転ぶぞ!!!」
「走ってないよ〜もう〜〜
心配し過ぎだよ〜
しっかりしてよ…パパ!!!」
〜〜〜fin〜〜〜
最後まで読んでくださってありがとうございました!
今回は『チャラく始まり、重く終わる』をテ−マに書いてみましたが
いかがだったでしょうか(泣)
次は【純愛】を書いていた頃のように
ちょっと初心に戻ってみたいと思っています。
なぜそんな気持ちになったのかというと、
ちょっと今回『エロ』の部分をだいぶ踏み込んで書いたので、
初心に返りたいと。。。
本当にありがとうございました!
2010.11.3
樹香梨