チャイムが学校中に鳴り響く。さっきまで授業をしていた教師はいつの間にかいなくなり、クラスメイトは帰り仕度を始めていた。
いつもの風景。何の変わりもないありふれすぎた日常。俺はそんな生活に正直飽き飽きしていた。つまらない日常を繰り返す退屈な日々に、苛立ちや焦燥にも似た思いを感じていた。
「よっ、神北 音勇(かみきた ねお)！」
笑顔で話しかけてくる若干酷めの癖毛と赤色のアンダーリムのメガネがよく目立つ男子生徒。彼は『橋本 翔太(はしもと しょうた)』という名前の幼なじみだ。
顔も、身長も、成績も、全てが平均的な彼の得意なことはテレビゲームと似てないモノマネ。毎年クラス替えがあるにも関わらず、初等の頃から何故か毎年同じクラスになり続けている不思議な縁の持ち主だ。
クラスの中で気軽に俺に話しかけてくるヤツらの1人だ。
「相変わらず眠ってるな〜」
「もちろん。眠いからな」
暇な時は寝る。それがここ最近の俺のモットーだ。寝れば時間が早く過ぎるし、何より気分が良い。春先の陽気を感じながらの居眠りは、俺にとって最高の祝福だった。
「それでも成績は常に2位。くぅ〜…羨ましいねぇ〜！」
「大方、一夜漬けなんだけどね」
「それなら尚更2位なんて中々取れないよ〜？」
俺と翔太の会話に入ってきたまだあどけなさが残った笑顔を浮かべる女子生徒。彼女は『中村 陽奈(なかむら はるな)』という名前だ。陽奈も翔太と同じく初等からの付き合いだ。
陽奈は低い身長とくりくりした大きな目、セミロングの髪を4つに縛る、つまりフォーステールが特徴の女の子だ。貧乳の胸と身長にコンプレックスを抱いているらしく、何かと努力しているようだが、いわゆるロリ体型はあまり改善されていない。身長と胸は初等の頃からあまり変わらない気がするが、陽奈曰く、大きくなってるらしい。
