「なぁ、前から聞こうと思ってたんだけどさぁ…」

「なぁに?」

「自分さぁ、仕事してんの?」

「なんでそんなこと聞くの~?」

「いつも帰ってくると、当たり前のようにいるじゃん?気にならない方がおかしくね?」

「え~。いちゃいけないの?だってぇ、今月はまだアレが来ないってことは、妊娠してるってことじゃん?そんな状態で仕事なんて出来ないよ。ストレスとかでお腹の赤ちゃんに悪いじゃん。タカシだって元気な赤ちゃん見たいでしょ~?」

「ああ…。そうだな…」

正直どうでもよかった…。

また、心にもないことを言ってしまった…。

完全に職業病だ…。

世間一般の普通と呼ばれる方々はこういった状況を素直に喜べるのだろう…。

オレは既に感情が枯渇しているか凍りついているかのどちらかになるのだろう…。

いつからそうなったのかはわからない…。

気付いたらそうなっていた…。

そんな感じだった。

「タカシ?」

視界には入っていなかったが、マナミがオレの顔を覗き込んでいるようだ。

オレの反応が逐一気になるのだろうか?

マナミと視線を合わせる気は起きなかった…。

正直、最近はこうやって凝視されることにうんざり気味だった…。