「彼女って…誰ですか…?」
あたしはうつむきながらおそるおそる聞いた。
「え?知らんの?…愛琳だよ」
あたしはその言葉が信じられなかった。
愛琳というのは同じ部活の同期。
「梨緒?大丈夫?」
先輩に声を掛けられた。本当は言葉なんかでそうになかった。だけどあたしは
「大丈夫ですよ~!!彼女いたって頑張ります!」
そういって先輩の元を離れた。
その日は眠れなかった。
次の日、事実を聞かれたあたしはボーっとすることが多くなった。
十哉とも愛琳とも関わりにくい…2人を避けていた。
「梨緒~?なんかあった?」
「菜緒…」
2年で仲良くなった菜緒。頭がよくて演劇部部長。あたしは昨日のことを話した。
「う~ん…難しいねえ」
菜緒はいつも人の話を親身になって聞く。
菜緒と真剣に話した日の夜、あたしは決心した。
「な~おっ!はいこれプレゼント」
「なに~?」
あたしは菜緒に手紙を上げた。
Dear菜緒
昨日ありがと(>-<)助かったよ!悩んだけど…彼女居ても諦めない!
頑張るね!
授業中、菜緒から返事が来た。
頑張れ!悩んだらいつでも言ってね!!
菜緒…。
その日からあたしの戦いが始まった。
あの日からよく優華は十哉の彼女の話をしている。
もちろん、十哉をおちょくっているだけ。
「ねぇ~!彼女どおなん?ラブラブ?」
「うっせー!聞くな!」
よくこの会話を耳にする。あたしも一応はやすんだけど…
時々胸が痛い。
だってはやしたてられても十哉の顔は幸せそうだったから。
それからしばらく経ったある日、部活前の教室で靴下を履き替えていると…
「ねえ。」
と十哉から声を掛けられた。
「何?」
というと恥ずかしそうに笑いながら
「アドレス…教えてくれん?」
と 言われた。
「あ…覚えてないから明日紙に書いてきたんでいい?」
「いいよ。」
というと、十哉はどこかにいった。
そのことを成にはなした。成は同じ部活の相当いい人。
やっぱ成はいい人。何でも聞いてくれるし。
その日からあたしと十哉のメールが始まった。