いつだって、君は近づくたび離れてしまう。
「今日、検査だからついてきてくれる?紗優のおじいちゃんに会いたいし」
もしこの日が、翔君の検査の日じゃなかったら、どんなによかっただろう。
「行くッ!」
もしこの時、あたしが行かなかったら、あたしはこんな嫌な女にならなくてすんだのかな?
見慣れた病院は、いつもと同じで落ち着いた庭の先にある。
ここに来る度、翔君に早く会いたくて、暑い中よく走っっていたのを思い出した。
なんだか、最近の事なのに懐かしく感じる。
おじいちゃんのお見舞いは、学校が始まってからは週に2回。
もうすっかり、おじいちゃんの匂いは病院の匂いになってしまった。
おじいちゃん、きっと翔君に会えたら喜ぶだろーなー。