「おはよー」
「おはよー翔君!」
翔君におはよーのあいさつをして、あたしの朝は始まる。
それがいつしか日課になった。
翔君が2学期から学校に顔を出した。
みんなとは、ほぼ初対面。
みんなびっくりしていたけど、前から翔君のことを知っていたあたしは、なんだか優越感を覚えた。
みんなより、翔君のこと知っているから。
みんなが知らない翔君を、あたしは知っているから。
翔君は格好いいから、そりゃあ女子からモテモテ。
それに気づいていない翔君はある意味凄い。
「紗優ー。一緒に帰らない?」
「え、うん・・・!」
時々翔君が誘ってくれるコノ言葉。
くすぐったいけど、たまらなく嬉しい。
でも、彼女でもないのに誘ってくるってことは、やっぱりアタシの事は女とし
て見てくれてないんだろーなーって思う。
それにしても、女子からの視線が痛い・・・
「付き合ってんのー?」
「嘘ーないでしょ・・・」
「でも、なんか最初から知り合いぽかったよ?」
「仲いいしねー」
「でもさ・・」
「「兄弟って感じだよねー」」
うぅ・・・
聞こえてるよー・・・
分かってるよ。
妹みたいにしか見てもらえてないのは。
「どーしたの?」
「うぅん・・・」
「?」
翔君はいつもと変わりない。
アタシの気も知らないんだからー・・・って、危ない危ない・・・。
また、こう思ってしまった。
前もこんなおとあったよね。
頭では分かってるのに、心が聞いてくれない・・・