ちょうど今日で紗夜が亡くなって、2年目になる。
だから紗羅は、今日はいつもより早く起き身仕度を整えていく。
昔は短くベリーショートの黒髪は、今では腰下まで伸びきった。
深紫に近い黒い瞳をして、身長は165とわりと高めだ。
鏡の前に移るのは、生前の紗夜にそっくりだった。
それにちいさく苦笑しながら、紗羅はセーラー服のリボンを巻いた。
部屋を出ると、キッチンからトントンと歯切れの良い音が聞こえてくる。
(母さん、もう起きてんのか)
紗羅は階段を一気に駆け下りて、リビングに入る。
「おはよう母さん」
すると母の薫(カオル)は、キッチンから顔を出して、おはようと笑った。
「今年も早いわね」
「まぁな」
にっと笑って、テーブルに食器を並べていく。
産まれた時から父はなく母子家庭で、紗夜が亡くなってからは、薫と紗羅2人だけになってしまった。
2人ぶんの食器を並べ終えると、紗羅は席につく。
「紗羅、ますます紗夜に似てきたわね」
寂しそうに笑いながら、薫は呟き紗羅の目の前に座った。
「そら双子だし。あたりまえだろ」
「そう…そうよね…わかってるのよ。でも、でもね……」
母は一息置いて、紗羅の瞳を見詰めた。
――…紗羅は紗羅でしかないの。