ひゅうひゅうと、喉が鳴る。
苦しげに息をする彼女は、ゆっくりと紗羅(サラ)の頬を撫でた。
『…さーちゃ、』
息が浅い。
どうしてこんなことになったっのか。
彼女は紗羅の双子の姉。
『さ、ちゃ…』
『喋るなっ!!』
血が。
血が止まらない。
彼女の腹部から、どくどくと真っ赤な血が流れ出て、必死に止めようとするのに止まらないのだ。
『…んーん…っ聞いて…』
『紗、夜、紗夜(サヤ)っ!あたし、わかんねーんだ。何があったのかわかんねーんだ。紗夜がなんでこんな…っ』
『うん…っ…わかってるから大丈夫…』
紗夜はそう言い笑った。
大丈夫だよ、と。
何度も何度も。
その笑顔がいつもより弱々しくて、久しぶりに涙が零れた。
『さーちゃ、泣くの、久しぶりだね…』
『…うるせぇよ』
『その喋り方、どうにかしなくちゃ…ケホっ…もう、13歳なんだから…うっ』
げほっと鈍い咳をしながら、彼女はまたにっこりと微笑んだ。
『…さーちゃん、あたしの指輪貰ってくれる?』
『え…それって紗夜が大事にしてた』
『うん、そうだよ…っ…でも、ね。最初からこれはあたしが持つべきじゃなかった』
『何、言ってんだ』
『あたしは、あの世界で何もできなかった…もともとあたしは"本物"じゃなかったからしかたないんだけど…』
寂しそうに笑いながら、首から下げた指輪を引っ張り出す。