コンビニを出てから二時間人気のない道を歩いていると

「なんか誰も歩いてないんだな。」

キョロキョロと回りを見ながら陽介が言った。

「まぁ、この辺は俺と皐ぐらいしか歩かないからな…。」

まっすぐ前を見たまま龍司が答え

「そうなのか?」

和也が聞き返した。それに対し

「この辺り俺たちしか知らない場所があるんだよ。だからこの道は俺たちしか知らないんだ。」

回りの景色を穏やかな気持ちで見ながら俺は言った。その後は誰も話さずただ和也と陽介は俺たちの後を歩いていた。

そんな中俺は…小さい頃を思い出していた。

(…懐かしいな。小さい頃、家を抜け出していつもこの場所を歩いてたっけな…)

懐かしむ俺の頭にふと大きな手が優しくおかれた。

「…龍…司…?」

見上げるとすぐ隣に優しくそして、どこか悲しそうな表情で俺を龍司は見つめていた。

「…思いだしちゃったか?」

俺を心配するように龍司が言うと和也と陽介も驚いたように俺を見ている。

「…和也、陽介?」
「お前…気がついてないのか?自分が泣いてること…」
「えっ?」

龍司の言葉に俺は自分の頬に触れてみた。

「…俺…なんで…」

涙がつたっていたことに俺自身も驚いた。そんな俺に龍司はただ優しく頭を撫でてくれた。

「ほらっ、行くぞ。大丈夫、お前には俺がいるから…。」

俺を安心させてくれる龍司の優しい言葉に俺の胸は温かかった。