「えっと…起こしたか?」
「…いや…起きようとしてたから…ちょうどいい…」

そのまま包み込むように龍司は、俺を抱き締めた。

「…お前は、小さい頃から俺を抱き締めるの好きだよな」
「んっ?だって…大事だから…」
「……」

変わらず俺に優しく抱き締めてくれる。その気持ちが嬉しかった。

「皐だって嫌じゃないだろ?」
「まぁ…な」

照れながら答えるとそれが嬉しかったのか龍司は、抱き締める力を強めた。

「…っ…龍司…痛い」
「あっ、悪い。皐が可愛いから…」
「…」

龍司の言葉にため息をつきながらゆっくりと立ち上がる。

「…龍司、俺、朝飯作るからそいつら起こせよ」
「了解」

俺の顔が赤いことに気づいたのかくすっと笑い龍司は、返事をした。

(…くそっ…あいつ、俺が恥ずかしいの知ってて…楽しんでやがる)

「龍司!いつまでも笑ってないで起こせ!遅刻するつもりか?」
「わかったよ」

小さく笑いながら龍司は、和也たちを起こす。

(…あいつら…制服のまま寝たのか?)

そんなことを気にしながら俺は、朝ごはんを作る。


「由岐、和也、陽介〜、起きろ。遅刻するぞ?」

3人の肩を揺らし龍司が起こしているが

「…マジか…」

一向に起きる気配がなかった。

「…皐…こいつら、起きないぞ」
「はっ?」

龍司の言葉に俺は、手を止め和也たちのそばに寄る。

「……」

そして、俺は、3人の頭を力一杯、叩きつけた。

「「!?」」
「起きたな」
「…お前…過激だな」