そして、そのまま眠りへと落ちていった。

「…寝ちまったな」
「ああ。俺たちのこととかでいろいろ悩んでたみたいだったからな」
「…なんで…そんな…」

心配そうに皐を見ながら陽介が呟いた。

「…昔さぁ、自分の意志ってのがなくいつも皐の真似をしてた奴がいてさ」
「「「……」」」
「その結果、皐は上手くいくんだけど…そいつだけ失敗ばかりしてた。」
「…えっと…まさか…」
「そう。あろうことかその男は、自分が失敗したことを全部、皐のせいにしやがった!そういう馬鹿な奴が多かったから…」

皐の髪を優しく撫でながら俺は、小学生の時のことを話した。

「…そっか…だから皐は、俺たちも自分の真似をしてるんじゃないかって思ったんだな」
「…俺たちを信じてはいてもトラウマがそう思わせたんだろうな」
「「……」」

俺の言葉に和也と陽介は、黙り込みそっと皐の手に触れた。

(俺や由岐たちがそばにいれば…いつか…こいつの心が癒える時がくるのかな…)

そう考えていると誰かに肩を叩かれた。

「!?」
「…」
「由…岐?」
「…そばにいような…」
「…ああ」

その日、俺たちは、皐から離れることなくそのまま眠ってしまった。


「……」

朝早く、目が覚めた俺は、今の状況を把握できず呆然としながらまだ眠っている龍司たちを見ていた。

「えっと…これは…どういう状況…なんだ?」

髪を掻き上げて俺は、昨日のことを思い出そうとしたが左手を見てその思考が止まった。

「和也と陽介…なんで…俺の手を…」

訳が解らず悶々としていると

「んっ…皐?」

目を擦りながら龍司がゆっくりと目をあけた。