そんな俺たちに和也と陽介は、心配そうに見ていた。その時、俺は、もう黙っていることはできなかった。

(…この2人なら大丈夫だな…)

そう考え俺は、話そうと決意したが…

「なぁ、龍司。無理して話さなくていいから」
「えっ?」

突然、真面目な顔で和也が言ってきた。

「そうそう!皐に何かあるのは、なんとなくわかるし…あいつが話したくなったら聞くからさ!」
「……」

陽介の言葉に俺は、なぜかホッとしていた。

(…こいつらがイイ奴で良かった…)

そう心から感じた。皐は、まだ完全には、癒えていないから…。


そして、俺たちは、皐が戻るまで勉強の続きをすることにした。




龍司に断り自宅へ戻った俺は、急いで父の元へ向かった。

そして、ゆっくりと戸を開け部屋の中へ入り正座をする。

「…父さん…美味しくできたから…お裾分け…」

そっと仏壇の上に栗羊羮を置く。

「……」

そして、俺は、ゆっくりと拝みその場を静かに後にした。


それから俺は、皐屋(陽介が名付けた)に戻り龍司たちと勉強をし1日を終え和也と陽介と別れ俺は、龍司と由岐と帰り道を歩いていた。

「…話さなかったんだな。」
「んっ?ああ…お前から話すまで待つってよ。」
「……」

なぜかその言葉に俺は、ホッとしていた。きっと、それは龍司たちも同じなんだろう。

俺には、まだ時間が必要だから…。それを龍司も由岐もちゃんとわかってくれている。だから、あの日から2人は、俺に父さんのことを話さないし聞かなくなっていた。

「まっ、今は、まだいいんじゃないか?」
「そうだな。受験前のあいつらには、酷だと思うからな。」

そんなことを言う2人に俺は

「…ごめんな…」

謝ることしかできなかった。