そして、次の瞬間、龍司たちの目が輝きだした。

「「「「「♪♪」」」」」「!?」
「さっ、皐、コレ…。」
「…栗で作った羊羮だ。」

陽介の問いに答えると一気に表情が変わりなぜか一斉に俺に抱きついてきた。

「うわっ!おっ、お前ら!急に抱きついてくるな!」「嬉しさとありがとうの気持ちを体で表してやってるんだよ!」
「いらん!さっさと食え!」

クスクスと笑いながら言う和也に俺も恥ずかしさで叫び返す。

「ははっ、照れることないのに…」

笑って言い羊羮を口にしながら龍司が言い返してくる。

(…こいつら〜。食べ終わったらとことん勉強させてやる!)

そんなことを俺が考えてるとも知らず龍司たちは、美味しそうに羊羮を食べていた。そんな中、俺は、あることを思いだし

「…龍司、俺…」

龍司に伝えようとしたが

「…いいよ。行ってこいよ。由岐たちには、俺の方から言っておくから。」

そう言って優しく微笑んだ。その笑顔に俺は、小さく頷きそっと部屋から出ていった。




「…あの人の好物…だったからな…」

皐がいなくなって俺は、1人、呟いた。その声に気づいたのか由岐が俺の隣へ座り小さい

「…行った…のか?」
「…ああ。」
「…そっか…」

皐の事情は、由岐も知っている。いつも俺たちは、一緒にいたから…。

「アレ、お供えするんだろ?」
「ああ。」
「…あれから何年?」
「うーん…6年?」
「そっか…。もしかして、いまだに?」
「…まぁな…」
「……」

あの人がいなくなって6年たつがいまだに皐の心は、癒えていない。

(癒えるわけ…ないよな…)