「それぐらいお見通しだって。何年お前と一緒にいると思ってんだよ。」

そう言って龍司は、俺に近づき肩を抱いた。

「だから俺たちに詫びることないから。俺たちは、ちゃんとやりたいことを見つけたから星城を受けることにしたんだからさ。」

その言葉に由岐たちも優しく俺に微笑んだ。龍司たちの笑みに俺は、ホッとしていた。特に龍司の気持ちは、嬉しかった。

「じゃあ、覚悟できてるんだな?」

俺の言葉に龍司たちは、強く頷いた。そして、今日から俺たちの受験勉強が始まった。


その日から龍司たちは、一生懸命、勉強に育んでいた。そんな龍司たちの勉強を教えながら俺も負けじとやっていた。そして、3週間が過ぎた。

「「「……」」」
「……」

3週間、ずっと勉強ばかりしてたせいか龍司たちは、ぐったりしていた。

「だっ、大丈夫か?」

恐る恐る、声をかけてみるが誰からも返事は、こなかった。

(…たくっ、しょうがねぇな。やっぱ疲れた時は、アレだよな。)

受験勉強を始めてから龍司たちには、内緒で作っておいた物がある。今の季節、秋にまつわる食べ物で作った和菓子だ。俺は、ゆっくりと立ち上がりキッチンへ行き人数分の皿を用意し冷蔵庫を開け出来上がりを確かめた。

「…うん、いい固さで良く冷えてる。」

久しぶりの出来に俺は、つい顔がニヤけてしまう。そして、ゆっくりとそれをテーブルに置き

「お前ら、いい物を作ってやったから食え!」

龍司たちを叩き起こした。するとびっくりしたように目をまん丸にしたままテーブルにある羊羮を目にした。