(ああ…、なんだろ…嫌な予感がする…)

そう思いながらゆっくりと前へ歩く。すると

「皐〜!」

泣きながら陽介が俺に抱きついてきた。

「「!?」」
「よっ、陽介?」

びっくりした俺は、声が裏返ってしまった。そして、俺の予感が的中した。

「皐!勉強教えて!」
「「「!?」」」
「……」

陽介の言葉に俺は、深い溜め息をつき

「とっ、とにかく中に入れよ。話しはそれからな。」

呆れながら言い鍵を開けて中へと入った。すると…

「えっと…。その前にそいつは、誰なんだ?」

由岐を見て和也が問いかけてきた。

「ああ…。こいつは、小学校の時からの親友で立花由岐。由岐、2人は、夏休みに出会った友達で菊地和也と工藤陽介だ。」

俺が紹介すると由岐たちは、互いに会釈した。そして、龍司たちを座らせ俺は、飲み物を用意しテーブルに置いていく。

「それでさ、皐たちは、星城高校の偏差値が高いの知ってた?」

お茶を一口飲んで陽介が聞いてくるが…龍司と由岐は、黙った。

「?」
「こいつらは、今日、知ったんだよ。知ってたのは、俺だけ…」

小さく溜め息をついた後、俺が答えた。

「なんで?皐は、知ってたの?」
「なんでって…。それは…。」

陽介に聞き返され俺は、一瞬、父親の顔を浮かべた。そんな俺に気づいたのか

「それより早く勉強しようぜ?」

教科書やノートなどをテーブルの上に出しながら龍司が言った。

(……)

そして、チラッと俺を見た。

「…っ…」

その目は、まるで“大丈夫”だと言っているようだった。